閉店コレクション

貼り紙文学の最高峰である閉店張り紙を集めています。

重要なお知らせ | SB大阪駅前第2ビル

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重要なお知らせ

長らくご愛顧いただきました、
ソフトバンク大阪駅前第2ビルは
6月30日(月)をもちまして
完全閉店となりました。

7月1日以降は下記の店舗をご利用いただきますようお願い致します。
近隣店舗のご案内
SB梅田中央・SB堂島地下街・SBホワイティ梅田
SBヨドバシ梅田・SBグランフロント大阪

SB大阪駅前第2ビル 店長


 チェーン店の閉店張り紙なので広く市場に流通する閉店張り紙と言えるでしょう。

 特に私情を挟まず、さらりと閉店日を書いて、今後の対処法について小さめの字で加筆する。いかにもマニュアル化された閉店張り紙です。

 しかし、個性は隠し切れないもの。この閉店張り紙はクリアファイルに入れられています。クリアファイルは意外と重いので、中身の紙よりも金額も重量もあるはずです。金属製のシャッターに樹脂製のクリアファイルを、樹脂製のセロテープで貼り付ける。つるつるしたもの同士貼り付けづらいと思うのですが、破られたり水濡れしても大丈夫なように、といった配慮でしょうか。こだわりが見え隠れします。

閉店のお知らせ | ハートイン石山店

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閉店のお知らせ

いつもご利用ありがとうございます。

当店は6月26日(木)の営業をもちまして、
店舗リニューアルの為、一時閉店させていただく
運びとなりました。

お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、
ご理解の程よろしくお願い致します。

ハートイン石山店


 典型的な閉店張り紙。ザ・閉店張り紙と言えるでしょう。

 まず感謝。それから営業最終日と今後のことをさらりと書く。このさらりが難しいのです。しかしうまくいくと粋に見えます。

 実は一時休業なんじゃないの、と思いますが「閉店」という言葉を使っているあたり、本当にお店じまいかもしれません。新たなチェーン店ができていたって、お客様には一時閉店していたな、ぐらいにしか思われない。だからいなくなることはボカして書く。そんな裏ストーリーまで読めてしまいます。

 ちゃんとバス回数券の買い方を書いてあるところも親切です。バスも販売先のキオスクもハートインとは別会社なのに。徹底的にお客様目線にたった姿が、閉店張り紙から読み取れます。

この地に店舗を構えて以来 | 酒店

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この地に店舗を構えて以来七十年、
多くの方々にご愛顧戴きましたが、
三月末を以て閉店致すことになりました。
長い間どうもありがとうございました。
平成二十五年

尚、清涼飲料自販機につきましては
メーカーが撤去する迄ご利用いたゞけます。


 これぞ王道と言える閉店張り紙です。

 あっさりとした閉店の挨拶と、今後も引き続き提供していくサービスについて簡潔に書いてあります。くせがあるけど読みやすい筆文字も相まって読ませます。

 最後の最後まで、お客様の目線に立って書いているところに、店主の人となりを見るようです。

 七十年も続いた店を閉めるのだから、もう少し書いてもいいのでは。そんな余韻を残す、文学性の高い作品です。

閉店のお知らせ | 七彩画房

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「閉店のお知らせ」

前略 弊社は創業以来長年にわたり皆様のご厚情をいただき、営業を続けて参りましたが、諸般の事情により三月十九日をもちまして廃業致しました。

 ながきに至り弊社にお寄せ頂きましたご厚情を心から感謝申し上げます。大変ご迷惑をお掛け致しますが、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

 皆様のご健康とご繁栄をお祈り申し上げます。

平成二十五年三月
株式会社 七彩画房


 閉店張り紙ではありません。閉店掲出です。

 第一回目からレアケースを持ってきてしまいました。でも、良さ、分かるよね。

 画房だからこそ額縁が余っていた…のではないのです。印刷してテープで貼ればいいものを、わざわざ額に入れて掲出するだけの手間をかけています。画房だからこそ、画房としての、最後のプライドを見せているのです。

 文章だけでなくその佇まいにもメッセージを込めたという点において、本作品は閉店文学史に新たな1ページを刻みました。

閉店コレクションはじめました

閉店張り紙ほど人の心を動かすものはない。

 

ある者は悲しみに打ちひしがれ、

ある者は債権の回収方法を考え始める。

 

たった一枚の張り紙で読んだ者の心をざわざわさせる。

それが「閉店張り紙」です。

 

人の気持ちに訴えかけ、行動まで変えさせる。

そんな力強い文章が他にあるでしょうか。

 

まさに張り紙文学の最高峰といえます。

 

しかしそこは閉店張り紙、神出鬼没に貼りだされ、

記録もされず消えていく。

 

記憶にとどめるだけでなく、記録と蓄積もしていこう。

それが本コレクションの目的です。

 

ウチボリ